ぢゅんのblog

ギター機材、音作りtips、DTMについて

Blackstar AMPED3レビュー

先日のインストバンド「当たって砕けろ」ライブでは、本番もリハも全機材を持込みしていました。

アンプ+キャビネットエフェクターやケーブル類など合わせると総重量で40kg弱あるので車移動です。


都内で複数バンドをやっていると、

毎回車移動ってわけにもいかないので、電車移動で運搬できるシステムも必要です。


真空管アンプのあのリッチな音って、やっぱり病みつきになるほど気持ち良いんですよね。「アンプで作る音とエフェクターで作る音って、やっぱ違うんだよなぁ」という気持ちがぬぐえない。

 

真空管アンプヘッドの弾き心地で電車運搬可能な機材がほしい!」ってやっぱり思ってしまうのです。

 

そんな願望をかなえてくれそうなフロア型アンプヘッドが今年新発売されておりまして。

試奏したところ、キャビからの出音が想像以上に気持ちよかったので、実は結構前にお持ち帰りしてしまっておりました。

 

Blackstar  AMPED3


良いところ
 ・ボードに組み込める大きさ重さ(約2kg)
 ・音の質感がちゃんとアンプ(エフェクターっぽくない)
 ・100Wパワーアンプの音量/音質
 ・3チャンネルで MIDI対応
 ・各チャンネルのツマミ位置メモリー可能

 ・ボード内で4ケーブルメソッドが組める

イマイチ…
 ・MIDIの対応範囲がちょっと狭い
 ・リバーブが地味

 

以下、各音色や機能の使用感をレポートします。

 

■全体
アルミ筐体の作りがしっかりしており、おもちゃっぽさ、プラスチック感がない。
フットスイッチの質感、ミニトグルスイッチの大きさ・固さ、各ツマミの固さや形状もすごく良い。
豊富な入出力端子があるので、リハスタアンプのリターンやインプットへの接続、キャビへの接続、宅録(キャビシミュ)どんな場面でも使えます。

■クリーンCH
ゲイン最大でもシングルコイルだとほとんど歪まないです。
ゲインの位置による音色変化があまりないタイプ。

ナチュラルなコンプ感が増していくイメージかな。
ヘッドルームが広く、きれいな高域を保ったまま音量を稼げます。
フェンダーほどの押し出し感や張りはないが使いやすい。
ゲイン感は好きなペダルを追加して仕上げると吉。

 

EQは若干独特な帯域設定と感じます。
音色を変えるというよりも、繋ぐキャビやアンプに応じていらないところを削る感覚のほうが合いそうです。
ロー帯域かなり低め、4発キャビのスーパーローを制御する感覚で使うといいかも。
積極的な音作りするなら別途EQを用意したほうがよさげ。

 

ボイスはwarmとbrightから選択可能。

どちらも使えます!


■クランチCH
ナチュラルなCrunchとレンジ広めでハイゲインなSuper Crunchのボイス2種類。
Crunchはローゲイン~ミッドゲインでまとまり感がありダイナミクスもつけやすい。
どちらもゲイン上げ目のほうがキレと太さのバランスが良く、アンプっぽいローミッドが気持ち良いです。

今のところ、ボイスはcrunchのゲインMAXがお気に入り。

手元ボリュームへの追随も反応良く、ゲインが足りないときにはブースターを踏めば幅広く対応可能です。

 

super crunchは次のオーバードライブCHに質感が似てます。

 

■オーバードライブCH
質感はディストーションです。

ゲインMAXだとメタルまでいけます。
内臓ブースターでプッシュすればゲイン足りないって人は少ないと思います。


OD1は80's~90's的なミッドが豊富なリード、OD2はドンシャリ刻みに合う。
かなり倍音が出ていてチューブアンプっぽいニュアンスでエフェクター感少ないです。

なのにノイズ少な目というデジタルならではの恩恵も。

 

■Boost

PreとPostが選べます。

Preだとゲインブースター、Postだと音量ブースターの役割ですね。
ほぼ帯域を変化させないタイプ。
素直と見るか、面白味がないと見るか、判断が分かれそう。
僕はゲインブースターはレンジが狭いほうが好みなので、別途TS系を用意しこちらはPost設定にして音量Up用として運用しています。

 

Postの場合、音量だけじゃなくてパワーアンプに負荷をかけたような倍音も加わります。リードの時に踏むと気持ち良いです。


このブーストのon/offは各チャンネルごとに記憶させられないので完全に手動制御となります。


■Reverb
個性のないルームリバーブ
スプリングやプレートっぽい音も選べたらよかったです。
ぶっちゃけ、あまりテンションの上がらない音です。
アプリ で調整も可能ですが、こだわる人は別途ペダルを推奨します。
まぁアンプ付属のリバーブとしてはこんなもんかなぁ。

 

パワーアンプ
1W→自宅練習用
20W→サチュレーション強め 手元ボリュームで音作る人向け
100W→余裕があり、ダイナミクスも出しやすい


音量十分で倍音感もあり、音圧こそ真空管には及ばないとしても、弾いていて気持ち良いです。本当に優秀!

 

■パワーレスポンス
おもしろい!ニヤニヤできます!
EL84→ローがつぶれ、プレゼンスが上がる。VOXっぽい
EL34→ミッドに腰がある バランス良し マーシャルっぽい
6L6→レンジ広め、パリっとしてる  フェンダー、メサブギーっぽい


チャンネルごとに設定を記憶可能。

 

■CabRig
付属のキャビネットシミュレータはArchitechtというアプリで細かく追い込み可能ですが、好みがはっきりしていない人は項目が多く迷いそう。
デフォルトの4 x 12がそのままで使える音だったので、こればっかり使っています。

 

フォンでもXLRでも出力可能、なおかつスピーカー端子との同時併用も可能なので、

 XLRアウト=キャビシミュの音→PAミキサーへ(客席用の外音)

 スピーカーアウト=実物キャビを鳴らす→ステージ中音用

といった併用も可能なのがうれしい。

 

もちろんそれぞれの音量制御も別々に設定できます。

かゆいところにすべて手が届く親切設計。

 

本体に3種類データを保存可能、背面スイッチで選択できます。
チャンネルごとに記憶は不可です。


MIDI
パッチモード・・・チャンネルごとにツマミ位置を記憶可能な反面、MIDIでの操作はチャンネル切替のみ
マニュアルモード・・・各チャンネル設定メモリー不可(物理的なツマミ位置での音が出る)が、MIDIで各つまみの増減を他の機器から制御可能


パッチモードでMIDIでボイス切替ができたらよかったのに。

3チャンネルx2ボイスの6種類の音をリモート切替できたらかなり選択肢が広がる。


ファームウェアアップデートに期待。

 

エフェクター用電源出力

地味ですが、9Vの電源出力が2系統(合計500mAまで)ついています。

エフェクター2台までなら電源供給でき、エフェクター用のパワーサプライを別途用意しなくていいんです。

地味に便利!

自分は分岐ケーブルを駆使して、3台に電源供給しています。

 

■Suhr PT15IRとの比較

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リハスタに両方持ち込んで繋ぎ変えて比較しました。

すべて同じ環境で比較すると、本物の真空管アンプはやはり感触が違うなぁと思わされてしまいますが、おそらく弾き手にしかわからないレベルの差です。

もっと明確な差が出るかと思いきや、好みの範疇と言って良い。

 

音色も操作性も良いですし、むしろ可搬性というメリットがめちゃくちゃ大きいので、トータルでの満足度はAMPED3は非常に高いです。


楽器が主役のインストバンドではsuhrのアンプ持込、それ以外はAMPED3セットという使い分けになりそうです。

 

■バンドのリハで使ってみた

AMPED3から長いスピーカーケーブルでリハスタのマーシャル1960キャビの16Ωに接続しました。

AMPED3のマスター9~10時、各チャンネルボリューム12時くらいで十分な音量が得られました。出力に余裕があり、オープンな音です。

 

特定帯域だけ突出していたり、抜けが悪い、音が細い、高域低域のバランスが悪いなどの問題はなく、非常に自然で違和感はゼロ。扱いやすい。

 

自宅で設定したEQからほんの少しの修正でリハができました。

実物キャビ⇔キャビシミュで設定変える必要がなかったのは地味にすごいと思いました。

やろうと思えば、本体EQとは別にキャビシミュを通過する音のほうだけ別途EQ調整(Archtectアプリで設定)も可能です。

現状でのボードはこんな感じ。

ギター

Xotic BBpreamp(ゲインブースター)

GT1000core

→ Loop1 Vemuram JanRay (ジャキジャキクランチ用)

→ Loop2 Blackstar AMPED3 (4ケーブルメソッドで接続)

AMPED3

キャビネット / PA / 常設アンプのリターン

 

AMPED3のプリアンプをスルーして、GT1000core内臓のAIRDプリアンプを使うことも可能。

 

 

■まとめ
非常に良い買い物でした。

電車で自前アンプをリハスタに持ち込めるという安心感。

出音の満足感と可搬性の両立。

ボード内でアンプ+エフェクトの4ケーブルメソッドシステムを組める。

 

Blackstarはメタルなブランドイメージが強いですが、

クリーンチャンネルの音色は素直でキレイだし、クランチチャンネルのゲイン幅も広いので、ポップス、フュージョンにも対応可能だと思います。

モダンな音色なので、昨今の緻密なJ-Rock/アニソンなんてぴったりじゃないでしょうか。

 

個人的にはスピーカーアウトとキャビシミュ通したラインアウトを同時併用可能なのが大きいです。

外音のライン出力のクオリティを維持しつつ、中音の良さを重視したい今の自分にとって理想的なシステムかもしれないです。

 

しばらくリハに持ち込んでみて耐久性・安定性がどうか、判断したい。

 

■こんな人に合う

エフェクターの歪みより、アンプの歪みのほうが好き

・電車で持ち運べるアンプがほしい

・ライブ派だけど宅録もする

 

ちなみに、宅録しかしないのであれば、Fractal / Kemper/ Helix/Quad Cortexなどのほうが圧倒的に音の選択肢が広く、ラインの音(特にキャビシミュ)のクオリティも高いです。

(そもそも価格帯が違う)

 

あくまでAMPED3はアンプであり、

リハスタやライブハウスでキャビを鳴らすときに本領発揮する機材だと思います。

宅録「も」できる、と考えたほうが良いと思います。