ぢゅんのblog

ギター機材、音作りtips、DTMについて

Suhr PT15IR レビュー

普段kemperやFractalをメインにしている友人たちが突如、「やっぱチューブにしかないものがある」とか言い出し、
チューブアンプヘッドを買うブームが巻き起こりまして。

 

実は昨年、流れに乗って買っていました。

 

 

デジタル音響機材全盛の現在でも、ギタリストの世界には真空管信仰が根強く残っていますが、かくいう私自身もやはり真空管アンプヘッドでしか出ない音や感触があると思っています。


ですが、運搬とか爆音出せる環境がないとか、状態維持とか、気にすることがたくさんあったため、
「現実的ではない」

と機材選定の選択肢から外していたんですね。

アンプヘッド以外の手段で、それっぽい音や感触をどうにかできないか試行錯誤していた。

 

実際、デジタル機材の利便性(小さい・軽い・多機能・安定性)は、アナログ機材では得られないものばかり。
アナログ真空管アンプの出音で、デジタル機材の利便性、を両立できる機材となるとこのアンプ一択でした。

 

 

■音質
当たり前ですが、キャビで鳴らすとまぎれもない真空管アンプヘッドの音です。
プリアンプとパワーアンプが別機材の時によく感じる、あのドライな感触とは違い、一体感と説得力のある音です。
電源を共有しているからなのか。

 

■クリーンチャンネル

良く言えば非常に素直で扱いやすく、悪く言えば特徴や個性のない音です。

 

「ペダルプラットフォームアンプ」と銘打って販売されていた、SuhrのBellaというアンプのクリーンチャンネルと同じ設計らしいです。

要するに、「音の基盤はアンプで作るので、味付けは好みのペダルで仕上げてくださいね」ということだと思います。


フェンダーのようなプリンプリンの弾ける感じとは違い、落ち着いた音ですが、
しっかりチューブの温かみやナチュラルなコンプ感があるため非常に弾きやすいです。

 

クリーチャンネルのゲインで歪ませた音は丸っこいため、

リードを弾くには良いですが、クランチというには少し重たい音なので、

Jan Rayなどでクランチさせたほうがタイトに仕上がりそうです。

 

ボリュームも6あたりから歪み、音が丸くなり高域が潰れてくるので、
マスターを十分に上げていたとしても、キラキラした高域を保った音質での音量限界は割と早めに来ます。
爆音ドラマーだとおそらく音量足りなくなるでしょう。


そういうときは、ヘッドの後ろのラインアウト端子からPAミキサーにつないで、
IRを通した音を返してもらえば、モニタリングの音量問題は解決すると思います。

 

■歪みチャンネル

Ch2と3はEQは共通で、音質もほとんど同じです。

マーシャル系だけど少し整った音が出てきます。メタルには向いてないかな。

汎用性の高い歪みです。

 

ブライトスイッチ・ゲイン・ボリュームはチャンネルごとに別の設定ができます。

Ch2ではブライトスイッチonでプレキシ系クランチ~オーバードライブ、
Ch3では太めのディストーションという使い分けで運用しています。

 

音量・音質ともに全く問題なし!

EQの効き方もクセがなく、ちょうど良い帯域でブーストカットできます。


若干ローミッドがルーズなので、メタル系、ソリッドな音にしたい場合は、
TS系ODやEQを挟んでローカットしてあげる必要があります。

 

■キャビとの相性
スタジオやライブハウスによくあるマーシャル1960キャビだと、低音が出すぎます。
アンプ側でローがかなり出るため、キャビ側でローが足されてしまうとトゥーマッチな音になります。


やはり15Wなので、小さめキャビを使用することを想定しているのでしょう。
1 x 12くらいの小型キャビだとちょうどよく収まると思います。

 

1960で鳴らすときはアンプのローは2くらいで十分。
ですが、その設定だとIR側の音がスッカスカになっちゃいます。

キャビから出る音とIRの音のギャップがありすぎて扱いづらい。
(内臓IRで4x12モデルを選んでも、どれも低音控えめな設定になっている)

 

スタジオやハコで1960を借りようと思っていたので、ここは誤算でした・・・

1960使うときは低音成分が多いIRを用意するか、PA側でローを上げてもらってバランスをとるしかないかな。

 

■リアクティブロード&IR

このアンプ最大のメリットはリアクティブロード内蔵というところだと思います。

真空管アンプユーザーの間で大ヒットしたUnivesal AudioのOXのような機材を別途用意しなくても良いんですね。

 

IRを通した音をライン出力可能ですし、自分の好きなIRデータを読み込ませて使用することも可能です。

もちろんキャビをつながなくても使用できます。

キャビにつなぐときも、1/2出力を選択すればマスターを極限まで下げても音質は比較的保たれる仕様になっています。

 

 

私も自宅ではラインで出していますが、シミュレータとはやっぱ音が違います。

どうやらパワーアンプを通過した後の音を取り出しているらしいんですね。

このラインの音質はずば抜けて良いと思います。

音が早いし反応がストレートで生々しい。
単純に弾いていて気持ちの良い音ですが、シミュレータのほうが若干弾きやすいかな。
暴れ感があり、ピッキングが雑だとバレます。

 

 

ピートソーン監修のIRはどれも使いやすい音です。
ヘンなのがないあたりも、さすがだなと思いました。

 

足元のエフェクターボードで4ケーブルメソッドを組むと、

アンプのチャンネル、IRの選択、エフェクト すべてワンアクションで切替ができます。

 

リハスタでも、ライブハウスのステージでも、宅録でも、

アンプとエフェクターボードとギターだけですべて完結できる、というのが非常に大きいメリットです。

 

◼️運搬

約11kgとアンプヘッドとしては小型の部類に入りますが、それでも電車移動はちょっとキツいかな、と思います。

ギター、アンプ、エフェクター、ケーブル類を合わせると結局結構な重量になってきますし、キャリーでゴロゴロ引きずっていくときの振動って真空管には良くないんじゃなかろうかと。

 

やはりキャビを鳴らしてこそ本領を発揮する機材なので、100%ラインだけでの使用はコスパは良くないです。

 

◼️総評

買ってよかったです。

 

出音の良さももちろんなんですが、

自宅の練習場所にヘッドが鎮座している景色とか、電源入れて真空管が暖まってきたときの独特の匂いとか、アンプヘッドでしか得られない満足感があります。

 

現状はほぼ自宅でのライン出力での使用となっていますが、今年はスタジオに持ち出して思い切りキャビを鳴らしたい!

 

次回はGt1000 Coreを使ったシステムの紹介など。